金継ぎをやっていて、一つとして同じものはないわけですから、似たような器は前回の経験をもとに、作業を進めていくのですが、やはり漆の扱いは難しいものです。
前回はうまくいった事が、今回もうまくいくとは限らず、なんで?と考えながら磨いて書いてを繰り返し、ん!!良いんじゃないか?と判断して、最終的に金属を蒔くんです。
で、その時は良しと思って最終仕上げに進み、磨き上げて継いだところが綺麗に光って、画像をご依頼主様に送ってご了承いただいて、発送するんですが、数年経って画像を再度見ると、もっとこうできたとか発見するんですね。(ご依頼いただいた方には申し訳ないのですが。)
何でしょうね、その時は良いと思っても後で見返すとアラが見える。(トホホ)
そして、今度はもっと滑らかにを目指して金継ぎを続けているんですけど・・・
いつも嬉しい瞬間は、ご依頼主様から仕上がりに満足してますとメールをいただけた時ですね。
本当に良かったと、思う時でこのまま無事でまっとうしてくださいよと器に思いを馳せる時です。
この、コーヒーカップも小さな欠けですが、綺麗に継ぐ事ができて、ご依頼主様から感謝のメールをいただきました。(嬉しかった!)
器と一体になってるように見える小さな欠け、きらりと金が光ります。
このコーヒーカップの思い出と共に、人の思い出も厚みを増していくんでしょうね。
道具って、本当に気持ちを豊にしてくれるものだなぁとしみじみ思ったりして。
なので、器選びも思いを込めて選んで欲しいものですし、最後まで一緒に過ごして欲しいと思います。
コーヒーも(紅茶も、ミルクも、ココアもあるかもしれませんが)美味しく感じる事がありますよね、器次第で。小さなことを大切にしながら、生活を豊にしたいものです。
生活が豊かってことは、心の豊かさに繋がる気がするんですね。
贅を尽くさなくても、豊に暮らしたいですね。