最近納品したご依頼品(磨き方など)

ブログを更新するのがすっかり出来ておりませんで。(苦笑)

本業(服飾の企画会社)が忙しく、また光栄なことに金継ぎのご依頼も頂いておりまして、ばたばたしておりました。

 

ブログの更新も、ネタはあるのに文章を書くとなると、これで伝わるのかとか、うまく説明できてないとか、言っていることはあっているかとか(年代や背景など)、いろいろ右往左往していると平気で2、3時間経ってしまうもので。と、言い訳たらたらですが。(さらに苦笑と汗)

 

最近納品させていただいたご依頼品を少しご紹介させてください。(ご依頼主様から画像使用のご承諾はいただいております。)

なんとも美しい翡翠色の空を鶴が舞う器は、韓国の作家さん物だそうで、薄くて繊細な磁器です。金継ぎで難しいのは薄い磁器でして、磁器はガラス質が多いので欠けた断面が鋭利で陶器のように焼き物自体に隙間が少なく、接着するのも欠けを繕うのも難しいです。そして、金丸粉1号を蒔くのが他の号数を蒔くよりやはり難しいです。

 

蒔きっぱなしでOKの消粉は最後の粉固めを行わないので、日常使うのには向いていないと私は考えています。

粉固めとは、蒔いた金属(金とか錫とか銀とか)に最後にコーティングをしてとれづらくする工程で、粉固めをしない蒔きっぱなしで終わると、蒔いた金属はとれやすいのです。なので、日常使いではない器や花瓶など頻繁に洗わないものやマッドな艶が合っている器には向いていると思うのです。

 

良くSNSなどでUPされている蒔き方は、消粉の金か金の代用の真鍮の蒔きっぱなしが多い感じがします。

確かに最後の工程が一つ省けるので早く仕上がりますし、粉固めをして磨き粉で磨く工程は研き破る可能性もありますので、そのリスクを回避出来るので手軽といえば手軽なんですけど、むむむ。みたいな一抹のモヤモヤ感は残ります。その物に蒔く金属と仕上げの感じがあっていればいいと思うんですけど。

 

特に金の代用として使われている真鍮は、緑青が出るので、私は食器類には使いません。

緑青は以前は毒性が強いとされていましたが、今は毒性は認められていないようです。多分昔の真鍮の精製方法では不純物が多くまざっていたから毒性が認められたのでしょうが、やはり口に入れるもので、金属の錆が出るものはどうかなと思っています。緑色ですし。

 

何が言いたいかと言いますと、金継ぎが流行って認知度が上がるのは大変いいことだと思うのですが、本来のやり方を全て知って、また金属の性質も知って向き不向きで選んでいるのであれば良いと思うのですが、簡単に早く出来る方法に走りすぎると、本来の金継ぎの意味や味が誤解されて伝わるのではないかと思うのです。

 

金継ぎとは、急いでやるものでもないと思っていまして(以前にも書いたような気がする)、時間がかかるからこそ出来る美しさや愛着などその工程で考える事が大切なのではないかと。なので忙しとも言いたくないのですが、冒頭で言っております。(さらに苦笑、矛盾してますね。)

 

ずいぶん、横道に逸れてしまいました。ま、半分以上ぼやきですね。(笑)

 

で、本題のご依頼品の鶴ちゃん(青磁の鶴が飛んでいる器を鶴ちゃんと呼ばせていただきます。継いでいる時はそう呼んでいました。)は縁が薄く欠けていて、最初は画像でお見積もりをするので欠けているだけと思っていたら、到着して実物を拝見すると欠けている箇所からにゅうがありました。(ヒビのことです。)

 

陶器のにゅうも難しくて、先にその箇所を引っ掻いて防染と含浸が入りやすくします。

しかし、難しいお題が来るとどうやったら美しく金継ぎできるかを考えるのが楽しくて、順序やどのやり方が適しているのかとか仕上げをどうしようかとか。で鶴ちゃんは金丸粉1号で蒔いて繊細に仕上げるのが良いかなと思い、ご依頼主さんにご提案しました。ら、快諾してくださり、冒頭の写真に戻るわけです。

 

アップで見ると鶴ちゃんも、金もきれいですね。磨き粉で磨いて仕上げているので、表面がとろっとしています。

 

こちらが、画像ではわからなかったにゅう(ヒビ)です。器自体が貫入(かんにゅう)とか梅花皮(かいらぎ)とかヒビっぽい景色なのでわからなかったんですね。内側はありませんでしたが、外側にありました。

やっぱり、金が合いますねー。

鶴ちゃんは他のお仲間と共に無事ご自宅に帰られました。めでたしめでたし。

 

このように、どう仕上げるのか考えながら、この器に景色が溶け込みながらさらにアクセントになるようなとか

作業している時は、頭の中があーでもないこーでもないと行ったり来たりしています。

ちょっとマゾっぽい気質がある気もします。難しいのが好きなんで。(笑)

 

次回UPするのは難題をクリアしたご依頼品です。

この鶴ちゃんのお仲間は、難題をクリアしたご依頼品の後にまたご紹介いたします。

 

私のぼやきにも付き合っていただきまして、ありがとうございました。

次回もよろしくお願い致します。

間を開けずにUPします!!