欠損好き

ちょっと、ファッション系の美術館話が続いたので、このブログの本筋の金継ぎの話など。 

                                                      割れて無くなってしまった部分も、元に戻せるのが漆パワーの凄いところですね。

欠損したところに麻の布を建てて、コクソで埋めて形を復元する手法が好きです。

麻の布をバイヤス(斜めの辺)に使って、壁を建てていきます。麻の布に麦漆を塗って茶色くなるまで酸化させます。粘度を高くして付きやすくするんですね。茶色くなったら欠損部分の断面につけます。

この時、断面の半分程度のところにくるようにして、つくつくと竹べらの先でついて断面部分に生地を密着させていきます。

断面の凹凸に合わせて、つくつくつくのが結構ツボにハマって、きれいに出来た時は達成感を感じます。

そしてこの時、バイヤス部分がピンと貼った状態ではなく少し弛ませることが重要です。

乾いて、ピンと貼り欠損部分のカーブに合うことを想定しければいけないからです。

冒頭の写真もそうですが、この急須のヘリも欠損で麻布がついているのがお分かりいただけるでしょう。

余った布が内側に来る様にして、漆風呂に入れて乾かします。

乾くとかちんこちんになっていて、余った布のところを丁寧にカットしていきます。

カットしたら、後は通常の金継ぎと同じで、コクソ→切子→錆→呂色→絵漆→蒔く→粉固め→磨く、で完成となります。

 

ある意味不可能はないんですね。後は想像力とどう仕上げたいかのイメージですね。この急須は持ち手部分もないので、どう作り出すか検討中です。

どう re bornするか楽しみにしていてください。