唯一無二の女性展

寺田倉庫で開催中ですがもうすぐ終わりです。12月22日まで。

サンローランの唯一無二のミューズ、ベッティ・カトル。

ミューズとはインスピレーションを与えてくれる女神的存在、イメージの大元。

 

サンローランといえば、サファリルックやマスキュリンルックなどその当時、レディースの服では考えられなかった、軍服や男装から発想されたシリーズをパリコレクションで発表し、一世を風靡しました。

 

ちょっと服装史を遡りますと、レディースといえばディオールなどが発表していた8ラインからの流れで、ウエストを絞ってペチコートでスカートを膨らませた女性らしい曲線を強調した服が主流でした。

見た目にはエレガントでも、社会進出をしだした女性たちには窮屈なものでした。

 

いち早く女性を窮屈な服から解放したのがシャネルです。コルセットを外してジャージ素材のスーツを提案したのです。これが第一の革命的変化と言ってもいいかもしれません。その後、ツイード素材を使用したシャネルスーツを発表しました。バッグやアクセサリーなども今に続く定番のキルティングバッグや、カメリアのモチーフ、シャネルのロゴのブローチとして受け継がれていますね。

 

その後の革命的な変化が、サファリルックにマスキュリンルックでした。その頃にはなかったカジュアルな要素と、男装のスーツからアイディアを得たレディース服を世に送りだしたのです。その時のイメージの元になったのが、ベッティでした。

彼女が纏うサンローランの服は、彼女であり、サンローランであり、唯一無二だったのです。

 

彼女のインタビューの中の「自分の体型が誰にも似てなかったことが、自分の存在の証明なの。いいとか悪いとかではなくてね。」という下りが、とても印象に残りました。

この少年のような、凹凸が少ないスルッとした体つき。サンローランが求めたのは、彼女の武器だったのです。

 

みな、一人一人違って当たり前と言葉では言いますが、日本では出る杭は打たれる的なところがありますよね。

この展示を見て、洋服を着るとは個性の表現であったはずですが、いつからか画一的な安心感のあるものに変わってきたように思います。

原点を思い出させてくれる、純粋さを感じました。これでいいんだよねー、と思えるような。

 

日本では、樹木希林さんや夏木マリさんが、歳を重ねても唯一無二な存在の女優さんでしょうか。

(樹木希林さんはすでに存命ではありませんが。)

私服を拝見すると、稀有な存在ですよね。

 

最近、歳を重ねて自分のアイデンティティーとか日本文化とかをさらに深掘りしたくて、着物を着るようになりました。まだまだ知らないことが多いですね。

洋服のことは仕事柄、勉強してきましたが、着物はへーみたいな組み合わせとか(色や柄)、全く洋服とは違う

ので、楽しくて仕方ありません。

 

と、唯一無二、オリジナリティーの探究は歳を重ねても終わりません、永遠に。