金継ぎには種類があるのですか?と聞かれることがあります。答えはノーです。
金継ぎとは本漆を使った修復、修理のことであって、本漆を使わない方法は金継ぎではありません。
ので、本当は「簡易金継ぎ」とか「モダン金継ぎ」とか「金継ぎ」という単語を入れずに別物として欲しいのが本音です。似て非なるものとして「金繕い」の名称もあります。これが正解だと思うのです。
簡易の方法がいけないというのではなく、別物の表現をして欲しいと思います。
わかりやすく言えば「カニ」と「カニカマ」くらいちがうよとわかるようにして欲しい・・・
(あ、カニの単語が入っていますから紛らわしいですか。)
とにかく、全く別物なのです。
特に簡易金継ぎはエポキシ樹脂を使い、エポキシパテを使い、金色の塗料を塗るので、平たく言えば瞬間接着剤でつけるのと同じことなのです。
また、エポキシ樹脂を使い、エポキシパテを使いまでは簡易と同じ方法ですが、最後の仕上げに本漆を使う
簡漆なる方法もあります。
この違いについては、「金継ぎ図書館」のHPに詳しく説明してありますので、ご参照ください。
リンクを貼っておきます。本当に詳しく、またわかりやすく解説されています。(パチパチ)
どうして、違いをはっきりさせて欲しいかと言いますと、そもそも金継ぎの手法とは、時間をかけて修復と美を共存させるものだと考えていて、麦漆で接着した際も暫く動くので徐々にぴったりつけられる仕組みです。
このすぐにくっつかないけど、だんだんくっついていくのがすごいと思うんです。
特に割れたパーツが多い場合このやり方は本領を発揮します。
そして、時間の流れが早い現代にこそ時間をかけて大切なものと向き合い、修復してさらに価値が増す風情になる金継ぎが見直されているのだと思います。なので、急いではその工程の奥深さがわかりませんし、試行錯誤の経験はできません。
もう一つ、原材料の問題があります。漆と言えばジャパンと言われるくらい、日本を表すものでした。 が、漆の木の栽培地区も減ってこのままでは国産の漆は絶滅の道を辿っていくのではないかと思います。
今は中国産が主流ですが、出来れば国産の漆の木の栽培にもつながるような活動や、その他の材料の保全の活動もできればと思っています。金継ぎにはいろんな材料が関わっているのですが、なくなりそうなのが多くて焦ります。
金継ぎに興味を持たれている方々、是非伝統的な金継ぎを体験してみて、先人たちの知恵に触れてみて下さい。