トライアルと良くある質問-2

金継ぎの最終仕上げの蒔き方にも種類がありまして、大まかに言いますと3つくらいに分けられます。

 

1、通常に蒔く場合は蒔いて(金属の粉を漆の上に振りかける)、止めて(金属の粉が落ちないようにコーティングする)、それを磨きます。磨く場合は磨粉や鯛牙、瑪瑙を使って磨きます。

 

2、金の色を目立たせたい場合は、蒔き詰めと言って、2種類の粗さが違う丸粉を使ってより隙間を埋めて蒔き、

、止めて、それを磨きます。こちら磨く時は炭を使って研ぎ出す感じになるので、つるっときらっと輝きます。

 

3、消し粉や都の光などの蒔きっぱなしOKの金属粉を使って、止めない蒔き方もあります。消し粉はちょっとマットな感じがしますが、都の光はきらりと光ります。が止めない分、経年劣化も早いです。つまり取れやすいです。

 

で、なんでこんな話をするかというと、良くある質問に「何回で完成しますか?」があります。

これ、難しい質問でして、どこを目指すかによって変わってきます。

 

前段で話した蒔き方も3であれば蒔いて乾いたら終わりなので、最終工程は1回になります。

1、2であれば最低2回、磨いて下地が出てしまったら、タッチアップをして後2回となります。

なので、簡単に成功体験を求めるならば3のやり方、本格的にやりたいなら1のやり方、1ができてきたら2のやり方に進むが良いかなと思います。

 

下地の段階で、すごくスムーズに行けば5回から6回で蒔く作業に入れますが、スムーズでない場合同じところを2回、3回とやっていきます。仕上げまで入れると6回以上としか言いようがないんですね。

 

そして、最近師匠から、蒔きっぱなしより強くて、止めなくても良い手法があると勧められたのが、ハイブリッドな1と3のいいとこ取りの蒔き方です。

最初に金丸粉1号で蒔いて、その後消し粉を蒔き止めない。乾けば終わりです。

でもこれ、金でしかできないので少しお高くつきますが、仕上がりはいい感じです。

こんな感じ。この筆立てにすごくあっています。またこの筆立ての柄が可愛いんですよね。有田の骨董屋さんで出会ったのですが、鳥や植物の躍動感が素晴らしくて、こんなのに筆を立てて金継ぎしたいと思いました。(笑)優雅な感じ。(笑)

買った時点ですでに錆まで施されていたので、あとは蒔くばかりでラッキーでした。骨董屋さんの店主に金継ぎをやっていると話したら、3代続く金継ぎ職人を知っているよと言っていたので、今度行ったら是非金継ぎ職人さんを紹介してもらいたいなと思いました。(紹介してくれるかは謎ですが、その骨董屋の店主も謎っぽい感じだったので。笑)

 

と、決まり事はあっても自由に発想してトライする。で結果が良ければ器によって新しいやり方をやってみる。

これ、昔から試行錯誤されてきたことだと思うんですよね。あーでもないこーでもないと、考えている時間が楽しいですねー。そんな時間もなかなかないんですけど。(笑)