コロナ禍でも、ありがたい事になんやかやと本業(ファッションデザインのお仕事)が忙しく、書きたいことは沢山あるのに、ブログ化が追いつかないままにお盆が近まってきた今日この頃。(苦笑)
先輩である高田賢三氏の回顧展を見てきました。(もう1ヶ月以上前ですが。)
文化服装学院に併設されている文化学園服飾博物館で開催されていました。
高田賢三氏と言えば、世界中を旅して民族衣装からインスパイアされたコレクションをパリコレにて次々と発表し、プレタポルテデザイナーとしてパリに愛された日本人初のデザイナーだったと思います。
オートクチュール(オーダー服)がメインだった時代を経て(その頃は何といっても森英恵氏)、プレタポルテ(既製服)のコレクションが台頭してきた時代に、私が勤めていた会社の社長松田光弘氏と共に船でパリまで旅行しました。もちろん、各国の港に立ち寄ってですから、かなりな日数がかかったと思いますが。
高田賢三氏はパリに残り、松田光弘氏は帰国してそれぞれに自分のブランドを作るわけです。
高田賢三氏の作る洋服はどこか正統派な服作りをベースにノスタルジックでフェミニンなイメージがあるなぁと感じていました。賢三氏の作風と民族衣装はとてもマッチするテーマだったのではないでしょうか。
以前「KENZO」ブランドの20周年記念のパリコレに行く機会があり、拝見したのですが会場デザインの至る所に菊の花がアレンジされていて、菊ってこんなに種類があるのかと驚かされた記憶があります。
自分も海外に行くと日本人のアイデンティティーを意識する事がありますが、特にパリ生活が長い賢三氏の後半生は日本の美を探求していかれたように思います。
どの分野でも、後に続く者たちに道を開くという意味で、先駆者は本当に素晴らしい存在だしその勇気と行動力には尊敬の念しかありません。
そんな高田賢三氏は回顧展を開くには早すぎる年齢で、くしくもコロナに感染してしまってこの世を去ってしまいました。同世代のデザイナー、コシノジュンコ氏や、島田順子氏には現役でデザイン活動をされています。
たかがファッション、されどファッションで、着るもの一つで気分が変わったり、気持ちを表したりと他人とコミュケーションがとれる一番身近で誰もが使えるツールの一つだと思います。
インターネットが中心になって、お店に行かなくても物は買えますし、オンラインでのコミュニケーションが多くなるかもしれないけれど、好きなものはリアルに見て触って感じたいものです。
もう既に終わってしまった「高田賢三回顧録 DREAMS- to be continued」、こちらのリンクで作品の数々を堪能してみてください。
https://www.fashionsnap.com/article/2021-05-06/takadakenzo-dreams-to-be-continued/